成人の場合、いびきをかく人で、1時間に5回以上睡眠時無呼吸があり、日中に強い眠気や集中力低下などがあると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
診断には睡眠検査を行いますが、多く見られるのは、のどが塞がって起こる閉塞型睡眠時無呼吸です。顎が小さいことや肥満が原因となります。
主な治療には、CPAP(シーパップ)という治療器械をもちいる方法、マウスピースを夜間装着する方法と、のどを広げる手術があります。
この病気は、日中の眠気、熟睡感のなさなどの他、高血圧症や心臓病や脳血管疾患を悪化させるのでできるだけ早く診断し、治療を始める必要があります。
いびきは、狭くなった喉(のど)が呼吸時に通る空気によって振動することで出る音です。特に眠っているときは筋肉が緩んで喉が狭くなりやすいのでいびきをかくのです。肥満や飲酒のほか、扁桃腺が腫れたときや口蓋垂(のどちんこ)が大きい場合、鼻炎や風邪で鼻が詰まっている場合などもかきやすくなります。
扁桃腺炎や風邪の場合は治ればいびきも治まりますが、問題なのは、肥満などが原因で睡眠中に無呼吸状態を繰り返す睡眠時無呼吸症候群のときです。慢性的な睡眠不足から日中に眠気に襲われて集中力がなくなったり起床時に頭痛が現れたりするほか、高血圧や心筋梗塞のリスクが高まります。早めに診察、治療を受けましょう。
「いびき外来」を掲げている耳鼻科がありますが、いびきが極端にひどいときや睡眠時無呼吸症候群の場合は呼吸器内科を受診するのがいいでしょう。
昼夜逆転の生活をしていたり寝不足であったりしたら、日中に眠気を感じるのは当然です。こうした一時的なものに限らず、日本人は慢性的に睡眠不足の傾向があり、自分ではよく寝たつもりでも睡眠不足に陥っている人が多いのが現状です。慢性的な睡眠不足は休日にいわゆる「寝だめ」をしても解消しません。生活習慣の見直しが必要です。
日中の眠気は、病気が原因のこともあります。多いのが睡眠時無呼吸症候群です。睡眠中に繰り返し無呼吸状態になるもので、眠りが浅くなります。
また、ナルコレプシーといって、発作的に耐えきれない眠気に襲われて、食事中でも眠ってしまう睡眠障害があります。まだあまり知られていませんが、日本人には特に多く、600人に1人程度の患者がいるとみられています。運転中に襲われると事故につながる恐れがありますから、早期の診断治療が必要です。
このほか、治療薬の副作用や水分不足・栄養不足から生じる眠気などもあります。眠気に加えて、体がだるいとかめまいや立ち眩みがするといった状態が続くようなら、呼吸器内科や睡眠医療センターなどを設置している病院を受診するといいでしょう。
寝ている間の無呼吸を防ぐために気道に空気を送り続けて気道を開存させて治療する方法です。CPAP装置からエアチューブを伝い、鼻に装着したマスクから気道へと空気が送り込まれます。
CPAP療法を適切に行うことで、睡眠中の無呼吸やいびきが減少し、眠気の改善や、血圧を下げる効果が期待されます。